第四話:暗殺事件


景帝の跡継ぎ問題で袁おうが景帝に意見すると、梁王劉武は逆恨みし袁おうを暗殺した。

景帝は梁王を疑い、田叔を召し出して調査を命じた。

田叔は梁王の謀臣であった公孫詭と羊勝が首謀者であったと考え、二人を厳しく捜索した。

二人が梁王の後宮に匿われていることを突き止めると、田叔は梁国の二千石の吏を厳しく責めた。

梁宰相の軒丘豹や内史の韓安国らが泣いて梁王を諌めたので、

梁王は観念し公孫詭と羊勝を自殺させ首を差し出した。


田叔は都へ帰り景帝に報告した。

景帝 「梁で暗殺の証拠は見つかったのか?」

田叔 「残念ながら、確かにございました。」

景帝 「証拠とはいかなるものか・・・」

田叔 「陛下・・・この一件はお取り上げなさりませぬようお願いいたします。」

景帝 「・・・なぜだ。」

田叔 「もし梁王さまが刑罰を免れるならば、我が国の法が守られぬことになります。

もし梁王さまが刑罰を受けられれば、太后さまはお食事の味も判らぬようになり

不眠の状態となりましょう。即ち陛下のお心を痛めることになります。

何卒、梁王の件はお取り上げになりませぬように・・・。」

景帝 「・・・・・・・・・」


景帝は田叔の見識に感服し、また梁王を憎んだ。

景帝は田叔を見込んで、劉余(景帝の息子)が治めていた魯国丞相に任命した。


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