万世大路福島側 その4 |
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烏川橋に到着。もう、「あひー」「ふひー」としか言えなくなっている。 万世大路にとりついたのがAM5:43。ここでもうAM6:38。 |
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烏川橋から右に折れさらに左に折れ、急な九十九折が続く。 道は0.8車線程になる。 雨水が削った穴に石ころを敷き詰めた程度の補修が見受けられ、 四駆ならばかろうじて通れる。 |
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AM6:47 今いる場所の山深さに思わずぎょっとする。 熊の恐怖が頭をよぎる。 この旅に出る直前、熊が出たというニュースを聞いたのを思い出した。 |
AM7:09 視界が全くきかない。恐いので二人とも大声で話すようになる。 傍からみたらただのバカだろう。 突然前方で「ガサッ」という音がした。それも相当でかい音。 野生の猿や鳥の立てる音ではない。二人は硬直したまま身動きが取れない。 「熊・・・?」私はちびりそうになった。 しかし「がさがさがさ」というは音はどんどん遠くなり、山を下っていった。 「・・・助かった。」心の底からそう思った。 |
AM7:13 視界が開けた。 雲がすぐそこにある。奥羽山脈を越える風が吹きつけ、寒い。 今、二人は奥羽山脈の真っ只中にいるのだ。 |
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AM7:26。出発から1時間43分、ついに大平集落跡に到着。 有り得ない。こんな処に人が住んでいたと言うのか?! めちゃくちゃ疲れた。 だいたい我々は無謀すぎた。不眠不休で何も食べずにここまで登ったのだ。 アホだ。 |
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そして道がわからない。(手書きのテキトーな地図を付けてみた。) 写真中央に藪のへこみがあるが、そこは不鮮明な獣道。 さらに写真右奥にも獣道がありどこかへ緩やかに下っている。 こちらの方は道筋がまあまあ鮮明である。(始めのうちだけだが) わからない。どっちだ?(正解は直進) |
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こちらが右手から緩やかに下ってゆく獣道。進んでみた。 ぐあー。洒落になんない。ダメー遭難するー助けてー |
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こちらが集落跡の奥に真っ直ぐ進む獣道。 写真では穏やかに見えるが、実際は酷い。道などない。 なんとなく藪が低い程度である。 家に帰って写真と照合してみると、こちらの獣道が正解だったようだ。 |
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「帰ろう。まだやり残したことがある。」 「・・・そうだな。」 二人は決断した。そして見事にヘコんだ。 左の写真、誰が見てもヘコんでいる(^-^;; バカ二人、ここに敗退す そしてバカは直らない。この日、無謀にも米沢側に挑むのだ。 本当にバカだ・・・死にたいのか(T▽T) |
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帰り道、遠くから人の声が途切れ途切れ聞こえる。 遂に空腹と疲労と眠気で幻聴まで聞こえるようになったか? と思っていたら、声は次第に大きくなり四駆が二台、道を塞いでいる。 なんと大平集落跡付近まで人が入っているのだ! 何よりも、人がいるというだけで生き返った気がした。 そしてここは熊らしき獣に遭い、私がチビりそうになった現場であるのだ。 |
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なんと、激しい潅木帯の中におっちゃんが二人いた。 なにやら細い木を伐っていた。 おやじ1「あー、どっから来た?」 おばら「さ、埼玉です。」 おやじ1「さいたま?・・・釣りか?山菜採りか?」 おばら「いや、ここは古い道だと聞いて登ってきたんですが。」 おやじ2「あー、万世大路ね。行き止まりまでいったか?」 おばら「その先にも獣道があるって聞いたんですけど藪になってたんで引き返したんです。」 おやじ2「あそこから先、年に一人くらい愛好家が入っていくよ」 おばら「熊でますよね。」 おやじ2「出る。」 おばら「恐いんで帰ります。」 おやじ1「あはははは!大声出しながら進めば熊が逃げる。行かねーのか?」 おばら「(^-^;;帰りますって。」 おやじ1「あははは。気をつけて帰れやー。」 (方言はテキト〜) 本当に人の温もりが有難かった。うれしかった。 |
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再び生きて烏川橋を渡れた。 | 橋から下の眺め。 |
車に戻ると、右股関節が痛い。足があがらない。友人は右膝を痛めた。 不眠、何も食わず、何も飲まず。自殺行為だ・・・。そして車に戻って気づいたのだが、車の鍵がかかっていなかった。愚か者以外の何者でもない。 そしてこの日の午後、愚か者は米沢側に挑んでしまった。 こちらは比較的穏やかだとの事前情報だったが・・・ 二人は地獄を見た。 |