栗子山塊越え 2005.11.05

 今回は私のスケジュールがなかなか決まらず単独での栗子山塊越えとなった。
太腿を負傷したり、獣に威嚇されたりと単独行の恐ろしさを充分知った。
反省すべき点が多い山越えであった。

■注意■
栗子隧道の上の稜線を越えるといっても、登山道はありません。常に遭難・滑落等の危険が付きまといます。
入山には十分注意してください。滑落すれば死は免れられません。
怪我をしたり獣に襲われても誰も助けに来ません。携帯電話は栗子隧道前と稜線付近で入ります。(NTTdocomo)


8:46
沢を登り始めてすぐ、下を見下ろす。
広大な平地があり、栗子隧道在りし日の姿を彷彿とさせる。


8:46
沢の水は少ない。
石も苔蒸しており、一歩一歩気をつけて行けば怪我をすることはないだろう。


8:49
下を見て撮影。
枯れ枝のトンネルを潜っているよう。
視界は全く利かず、どちらの方角に向かっているのか判らなくなる。


8:49
こういう箇所には赤リボンか青ビニールテープが木に括り付けてあり、巻くことができる。
オフラインの先人達猛者達には感謝感謝である。


8:54
水量は殆ど無くなる。
果てしなく沢地形が続くように見える。


9:01
平坦な場所があった。
振り返って撮影。
もう栗子隧道など見えない。


9:05
沢の流れはごく僅かになる。
潅木のトンネルは相変わらずだ。
まだ登りやすい。


9:09
この赤リボンの少し先から植生が変わる。
笹が茂りだし、太い木は無くなる。

この岩から染み出す水が栗子川源流のようで、この先に流れは無かった。
ここから先は信じられない密度の笹薮と斜度で、こまめに写真を撮る余裕が無かった。
片手にデジカメなぞ握っていたら死んでしまう。


9:15
小枝を掴んだら折れてしまい、転倒して岩に太腿を当ててしまい一時歩行困難に。肩も痛めた。
青くなったが、降りるのは無理。登るしかない。
はるか彼方から米沢砕石の稼動する音が聞こえてくる。R13の車の音も聞こえる。米沢の街も一望できる。
小休止したら幾分か良くなったので再び登攀。
笹を掴んで登った方が安全だということに気づく。


9:16
水平な場所など無い。低木の根に座って再び小休止。足が痛い。
顔はひっかき傷だらけ。全身朝露でびしょびしょ。藪漕ぎというか、笹&枝漕ぎといったところか。
しかし、赤リボンは「もしやロストしたか?!」と思う頃に現れホッとさせてくれる存在だ。


9:39
笹と小枝の海を泳ぐこと20分強、デジカメを取り出せる場所など無かった。
両手で笹を掴み一歩一歩登っていく感じだ。
再び低木の根で小休止。
斜度がきつく稜線など見えない。


9:39
まだか、まだか、と叫びながら笹地獄にうんざりしているとようやく稜線が見えてきた。
あれは1202mの峰だ。
思ったより急峻でなく優しい雰囲気の峰である。

さすがに鞍部は風が強く、笹薮が不気味な音を立てている。
天気が悪いのが気になる・・・


9:41
しばらく進むと、直進方向へは進めなくなる。
踏み跡らしきものがぱったりと消滅し猛烈な密度の笹薮となる。
どうしようか、と考えていたら左側に赤リボンがあるのに気がついた。(写真中央上)
稜線まであとちょっとだが、リボンにしたがい左折してみた。


9:41
なんとなく、踏み跡があるような無いような。
稜線に徐々に近づいてはいるが、つらい。
なかなか前に進ませてくれない。


9:42
南天か何かの実が成っていた。
灰色の世界で鮮やかな赤を見て心が少し動いた。


9:49
そして、ついに稜線鞍部に到達。ここが栗子峠なのか・・・。
この達成感。なんとも言えない。

1202mの無名峰を望む。手が届きそうで届かない。
稜線は歩けるような藪ではない。
ナタで切り開かなければ座りもできない。
リュックを開けてパンを食べようと思ったが、小枝のせいでリュックがなかなか空かず悶絶した。


9:50
反対側の1160mの無名峰を望む。
とても歩けない藪。
頂上には先人の足跡があるのだろうか・・・


ここで立ったままであったが大休止を取ることにした。
クリームパンを頬張る。
信じられないくらい美味い。
水を飲む。
信じられないくらい美味い。
なんだ、この感覚は。必死に登ってきたからなのか・・・?


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栗子山塊越え略図