第二話:鹿の角


始皇帝は狩猟が好きで、群臣を引き連れよく狩りに出かけた。

始皇帝は、いまある狩猟場に飽きてしまい、皇帝の狩猟場をもっと広げたいと言い出した。


始皇帝 「うーむ。この狩猟場も飽きてしまったな。皆もそうだろう?

何処に行っても見知った場所で、鳥や鹿も少なくなってきた。」

群臣 「御意にございます。」

始皇帝 「そこでだ。我が狩猟場を大々的に拡大し、

東は函谷関、西は雍や陳倉まで広げれば、狩りも面白いものになるだろう。」

皆の者、どう思うか。」

秦の略地図(一応、自作です^-^;;)

群臣に思い切って発言する者はいなかった。

そんなに狩猟場を広げてしまえば、人民の畑は皇帝の狩猟の度に馬蹄で荒され、

怨嗟の声が秦の地に満ち溢れるからである。


しかし、優旃が進み出て楽しげに言った。

優旃 「おお、それはいい案です。

新しいお狩り場に鳥や鹿をたくさん放しておけば、

賊どもが東からやって来ても賊どもは鹿の角で追い払われるでしょうな。

これからは何の心配も無いでしょう。」

始皇帝 「はっはっは!!優旃の諧謔は今日も冴えておるな。

だがな、鹿の角を借りるほど我が秦帝国の威光は衰えていないぞ。

狩猟場の拡大案は無かったことにする。

その金をイザというときの為に軍備にまわせ。」



こうして、優旃のとっさの機転と諧謔によって、人民の農地は守られた。


優旃の笑いの精神は、民を救ったのであった。


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