第三話:袁叔


袁叔は袁おうの兄の子で、董偃とも仲がよかった。

袁叔は、長公主が董偃を愛するあまり彼を売り出し過ぎていることが気がかりであった。

いずれ弾劾されるに決まっている。

そこで董偃に忠告した。

袁叔 「君は密かに竇太主(長公主)さまに侍りかしずいて、測り知れない深い罪を抱いている。

一体、どこに安心して身を置くのですか。」

董偃 「そうなんです。以前からこのことを心配していたのですが、

どうしていいのかわからないのです・・・。」

袁叔 「文帝さまの廟は遠く、途中陛下が宿泊なさる宮殿もありません。

そのうえ楸(梓の別種)や竹が生い茂り、田んぼもあるようなところです。

陛下に長門園(長公主の所有する園)を献納するよう、竇太主さまに勧めてみては。

陛下はその地を欲しがっておられるようです。

献納したのが君の計らいによるものであると陛下がお知りになれば、

君は枕を高くして眠ることができ、今までのように思い悩むことも無くなるでしょう。

もし、いつまでも献納しなければ、やがて陛下から所望なさるでしょう。」

董偃 「おお!それは名案です。

つつしんでお指図に従います。」


董偃はすぐさま奥へ入り、このことを長公主に告げた。

長公主は即座に上書して長門園を献上した。

武帝は非常に喜び、園の名を長門園から長門宮とした。

長公主もこれを喜び、董偃を遣って袁叔にお礼を言うとともに、黄金百斤を贈った。


袁叔はさらに董偃の地位を確実なものとする為に策を練った・・・


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