第一話:温県


河内郡は殷王朝の都が置かれていた。この河内郡の中に温という県がある。

古代、ここは小さいながらも己姓の国であった。周の司寇だった蘇忿生が封じられた土地といい、

戦国時代の君主達を弁舌で手玉に取った蘇秦はその後裔だという。


また、河内郡温県出身といえば、すぐさま思いつくのは司馬一族である。

『史記』の著者、司馬遷の遠いいとこであった司馬は,始め項羽に仕えて殷王に封じられ、

後に劉邦に降って河内郡温県に領地を貰った。

その子孫が魏の武帝曹操・文帝曹丕・明帝曹叡・斉王曹芳に仕えた司馬懿であり、

その孫が三国を統一し晋を建国した武帝司馬炎である。



そうそうたる温県出身者のなかで、特にマイナーなのが石奮である。

高祖劉邦、恵帝劉盈、文帝劉恆、景帝劉啓に仕え、謹厳孝行で名を馳せた人である。

今回はそんな石奮を取り上げる。


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