太中大夫に任命された陸賈は、折をみては劉邦に孔子の『詩経』『書経』を説き、褒め称えた。 劉邦は大の儒者嫌いだったので陸賈を罵った。 |
|
劉邦 | 「わしは馬上で天下を取った。詩書には用は無い!」 |
陸賈 | 「馬上で天下を取ったとしても、馬上で天下を治めることはできません。 殷湯王や周武王は反逆で天下を取りましたが、順道で天下を保ったのです。 文武を兼ね備えることが天下を保つ秘訣です。 呉王夫差や晋の智伯は武を用い尽くして滅びました。 秦は刑罰を重んじ、改めなかった為に滅びました。 もし秦が仁義を重んじ古聖を見習っていれば、 陛下は天下を取ることはできなかったはずです。」 |
劉邦 | 「・・・・・・。 ま、まぁ、お前の言うとおりだ。 それではわしの為に、なぜ秦が天下を失い、なぜわしが天下を得たのか、 また、古の国々がどうして失敗し成功したのか著述してくれないか。」 |
陸賈は国家の存立・滅亡の兆しを述べ、十二篇の書を著した。 一篇完成し献上されるたびに劉邦が褒め称えないことはなく、群臣も万歳を叫んだ。 書は『新語』と称され、当時のままではないが現在まで伝えられている。 |