栗子隧道 福島側 2005.5.2

 私はまた万世大路に立っていた。
去年とまったく同じ5月2日、dark-RX氏と。
今回の目的は、去年水没していて断念した福島側栗子隧道閉塞点を極める、ただそれだけであった。

注意
入山には十分注意してください。
当然携帯電話の電波は届きませんし、怪我をしたり獣に襲われても誰も助けに来ません。
相応の装備はしていますが、私は猿と熊に遭遇したことがあります。

隧道内おまけ写真

ORRの二番煎じ。
「おばら DARK」と石を並べてきた。



帰途、いつもなら写真も撮らないが今回は違った。
dark-RX氏と雪の滑り台で九十九折をショートカットし遊びながら歩いた。お尻は濡れたが童心に帰った。



小杭甲橋付近の暗渠。
雪に埋もれて何がなんだかわからない。



人工のものだと思っていた滝は、自然のものだった。
山口屋さんのレポの通りであった。
滝の右端、石碑が水に洗われている。
行ってみようと相談するも、残雪踏み抜きの恐れがあり断念。



杭甲橋。
このアングルから撮れるのはこの時期だけかも知れない。
残雪踏み抜きの恐怖と戦いつつ撮影。
下を流れる沢まではかなりの高さがあり、落ちたら戻ってこれない。



杭甲橋。スキー場方面を向いて撮影。
残雪がすさまじい。
この斜面を突破した我々は無謀だったかもしれない。




大平橋の先、道が南斜面へ転じる付近。
ここは不自然な平地であり、集落があったのかもしれない。
松がぽつんと生えていた。



大平橋。
立派なものである。




大平集落跡。
電気も水道もなかったが米沢藩士末裔が運送業を営んでいたという。
今は跡形もなく、ただ木々が茂るのみ。
『菜根譚』を著した洪応明は言う。
「髪落歯疎、任幻形之彫謝、鳥吟花咲、識自性之真如。」
髪は薄くなり歯は欠け、やがて仮の肉体は滅びゆく。
しかし鳥がさえずり花が咲くのを見れば、そこに不変の真実が生き続けることを知る。



えぐれた万世大路を下から見上げる。
河川の浸食力はすさまじい。



ゆっくり帰還し、車道終点に到着。
どこまでも青い空が印象的だ。



二ツ小屋隧道付近にて。
残雪を踏み抜いた先が、こんな池だったら心臓麻痺であの世逝きだろう。
恐ろしい限り。
この後、明治の万世大路を辿ってショートカットし、無事駐車した場所へ到着した。



今回は、念願の栗子隧道福島側閉塞点に到達した。
次回は、山形側から栗子隧道の上を越えて万世大路を完走したい。

自称聖人王莽の新国を倒し、後漢を興した光武帝劉秀はこう言っている。
「人苦不知足、既平隴、復望蜀。毎一發兵、頭鬚為白。」
人間というものは、どこまでいっても満足というものをしらない。
いま私は隴を平定したが、今度は蜀を手に入れたくなるのだ。
軍を出す度に、髪や髭が白くなる。

・・・・・・


dark-RX氏と万世大路を踏破するのはこれが二回目。
疲労しきった時、氏の人柄に何度助けられたことか。
本当にありがとうございました。


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