万世大路 再びその11 2004.05
!注意!
隧道内部は大変危険です。当然ですが、怪我をしたり獣に襲われても誰も助けに来ません。当サイトは進入を推奨しません。
万が一隧道内で崩落に巻き込まれて落命しても、当サイトは一切の責任を負いません。入洞は自らの責任に於いて行ってください。
ちなみに米沢側は外に出れば携帯電話が通じます。(ドコモ・ボーダフォン確認済)
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栗子山の近くを通る途切れた道が万世大路です
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栗 子 隧 道
昭和11年竣工
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「時間も押してますし、行きますか。」
栗子山隧道を制した二人は躊躇なく栗子隧道へ。
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前回はこの景色を見ただけで満足した。
今回は違う。dark-RXさまと二人でこの閉塞隧道を窮めるのだ。
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少し進むと、妙な物体に気がついた。
右に写る白っぽい岩のようなもの、氷である。
小崩落地点は漏水が激しい。
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激しく内壁剥離している。
鉄筋もヘニョヘニョ。
いつかこちら側に向かって倒れてくるのだろう。
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ついに小崩落地点まで来た。威圧感たっぷり。
なにやら支保工らしきものがちらばっている。
落盤が頭上で起こらないことを祈りつつ上を見上げると・・・
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何じゃこりゃー?
栗子隧道、木組みで地圧を支えていたのかよ!
ここは漏水が激しく、木が腐って折れ、
地圧に耐え切れなくって崩落を起こしたようだ。
って、よく廃道になるまで落盤おこさなかったなぁ・・・
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目の前には宙ぶらりんのコンクリ塊。
無機質すぎて怖い。
物言わぬ証人。
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すぐ先に再びある崩落点。
やはりここも漏水が激しい。
岩盤、木組みの支保工、鉄筋コンクリート、コンクリ内壁、
その階層がよく判る。
コンクリが剥がれ、鉄筋が見え隠れしている。
こんな細い鉄筋と木で地圧を支えていたとは・・・
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上の崩落点の先は、見るからに崩落が起きそうな
危険ひび割れ地帯となる。
ここも地下水にやられていると思われる。
あとでdark-RXさまとお話ししてふと思ったのだが、
管理者である国は、新道に切換わる前から栗子隧道崩落の危険性を
ある程度把握していたのではないか、ということだ。
素人ゆえ、詳しいことは解らないが。
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電線か何かを通していたと思われる。
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小規模な崩落地帯を過ぎると、道はクリーンになる。
しかし、先はまったく見えない。
閉塞点はまだか・・・
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振り返って撮影。外界がこんなにも美しいとは。
栗子山隧道でも同じことを思った。
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栗子隧道には両側に側溝が作られていた。
いまだになみなみと水を流していた。
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ああ、入口があんなに遠くなってしまった。
閉塞点はまだか、まだなのか。
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目の前に壁が見えた。
その周囲も酷い崩れようだ。
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完 全 閉 塞 。
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閉塞点全景。
栗子隧道は完全に息の根を止められている。
たった一箇所の崩落で・・・
まさに、息を呑む光景。言葉を失った。
こんな山中に大規模な遺構が残っていることにも唖然としていたが、
この潰れっぷり。
自然の前では、人は無力である。 |
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閉塞点付近は崩落が進んでいる。
ここは隕石が落ちたのかと思わせる程の大穴が開いていた。
鉄筋など役に立たない。
鉄筋は麺のようにフニャフニャになっているが、
触ってみると人の力で曲げられるようなものではなかった。
ふと左を見ると・・・
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うわっ こっこれは なんですか!!??
巨大岩石の上に人為的な石積み・・・ 三途の川??賽の河原??!
【三途の川の石積みの由来】
夭折した子供の霊が親を泣かせた親不幸者として、
三途の河原で毎日石積みをさせられ、
石積みが高ければ高いほど親不幸の罪が軽くなり、
極楽浄土へ往生できるとされ、
子供たちの霊は一刻も早く浄土へ行きたいが為に、
一生懸命に石積みに励む。
しかし、高く積みあげた頃になると鬼がやって来て、
金棒で石積みを突き崩してしまう。
子供たちの霊は、恐怖と悲しさで泣き叫びながらも、
一時でも早く浄土へ往生したいが為、再び石を積み始める。
ということで我々もこの横に石積みをしておきました。
安らかに眠れ、栗子隧道。
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2004年
5月2日
おばら・dark-RX
踏破記念にdark-RXさまと自分で落石に鉛筆で記した。
石積みの上に乗せた。
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帰還を開始した時、既に午後4時を回っていた。
陽は西に傾き、残雪は緩みきっていた。
焦る私は雪を何度も踏み抜き、腰まで穴にはまり靴を濡らした。
自転車と再会し、利かぬブレーキをかけながらあっという間に下った。
dark-RXさまと相談して、ファミレスにでも行きますかということになる。
栗子隧道から、居眠り運転しながら福島市内ファミレスへ向かった、
「文明の残骸」から「文明」への鮮やかな道程が脳裏に焼きついている。
一生忘れないだろう。
数時間後、dark-RXさまとお別れして高速に乗った。
別れ難かった。
今回の踏破成功はdark-RXさまに因るところが大きく、感謝してもしきれない。
また機会があれば、是非同行させていただきたい。
本当にありがとうございました。
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