第三話:長城を築く


蒙恬は三十万の兵を与えられ、河水(黄河)の内側まで入り込んでいた北方異民族の戎・狄を攻撃し、

黄河以南を全て手に入れた。(下の地図参照)


蒙恬は、匈奴が強いのは騎馬にあると知っていた。

そこで地勢に従い、山河を利用して砦を築き、

黄河を見下ろす四十四の城を造った。

城の守備には流罪になった罪人をあてた。


そして九原から雲陽に至る直通道路を開通させた。

これは匈奴が攻め込んできた時に、迅速に咸陽から

大軍を送ることができるように作られたものである。


また、戦国時代に作られた各国の長城を繋ぎ、修繕すべきところは修繕し、

険しい山に沿いつつ、渓谷をうずめたりして、遂に長城は臨桃から遼東にまで至り

その距離は一万里に達した。

これが現在に伝わる長城の原型である。


それから蒙恬は軍を率いて黄河を渡り、匈奴を打ち破って北進した。

匈奴の首領は頭曼単于といったが、蒙恬に負けて北方に追いやられた。


以後十数年、蒙恬は匈奴を度々撃破し、その威勢は匈奴を震撼させた。


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