夏侯嬰は韓信と語り合い、その只ならぬ才能に驚かされた。 彼は韓信の死刑を取り消し、劉邦に韓信を推薦しようと考えた。 夏侯嬰「漢王さま。私は凄い人材を発見いたしました」 劉邦「何っ、それは誰だ?」 夏侯嬰「それは、韓信という者です。項羽の下で優遇されず、漢王を慕って参った者です」 劉邦「韓信・・・?知らんなぁ。まあ、お前がそんなに見込んだ男なら採用してやろう。 治粟都尉(食糧管理の役人)にしてやろう」 夏侯嬰「ええっ!?彼はそんなチッポケな才能の持ち主ではありません。 彼には実績こそありませんが、稀代の名将になるに違いありません!! なにとぞ、お考え直しを」 劉邦「いや。ワシはまだ韓信なる者の才能を知らぬ。しばらく様子を見よう」 こうして、韓信は食糧管理の役人に回されてしまった。 夏侯嬰はがっかりしたが、めげず、蕭何に応援してもらうことにした。 蕭何に韓信を紹介し、彼の才能を知ってもらおうとしたのだ。 蕭何は、快く韓信との会談を承諾してくれた。 ・・・・・・・・・ なんと、蕭何も韓信の才能にゾッコンになってしまった。 蕭何も、劉邦に度々韓信を推挙するようになった。 その後、すったもんだがあったが韓信は大将軍の地位に就いた。 一介の逃亡兵が、夏侯嬰と蕭何の推挙で漢軍の全権を握る人物になったのである。 そして、韓信は元秦の地を攻める策を劉邦に献じ、劉邦を非常に喜ばせた。 さっそく、夏侯嬰ら将軍達に命じて元秦の地を攻めさせた。 韓信の策のとおり、元秦の地はあっさりと落ちた。 劉邦は名実共に「漢王」になったのである。 しかし、韓信の策は元秦の地を奪回することが目的ではなかった。 項羽の本拠地・彭城を落とすのが真の目的であったのだ。 漢軍は韓信を大将軍として、兵を集めながら彭城に攻め寄せた。 最終的には、漢軍は56万に膨れあがった。 そして彭城は、項羽の留守中であった。 彭城はあっという間に落とされ、街は略奪強姦で滅茶苦茶になった。 しかし、項羽がこの侵略を許しておくはずがない。 項羽は、直属兵3万を率い、彭城に向けて南下し始めた。 漢軍は56万という数を頼りにして、全く警戒を怠っていた。 項羽はあっという間に56万の漢軍を蹴散らし、大多数を降伏させ、漢軍と楚軍の兵力は逆転した。 そして、劉邦を目指して、楚軍が殺到した。 劉邦は、楚軍に急迫され、ただ馬車の上でただオロオロするばかりだった。 しかし、いつも御者を務めている夏侯嬰は意外と冷静だった。 逃走中に、なんと、劉邦の息子と娘を見つけたのだ。 そしてこのあと、夏侯嬰一世一代の名場面が・・・!? |