第四話:韓信を見いだす


夏侯嬰は韓信と語り合い、その只ならぬ才能に驚かされた。

彼は韓信の死刑を取り消し、劉邦に韓信を推薦しようと考えた。

夏侯嬰「漢王さま。私は凄い人材を発見いたしました」

劉邦「何っ、それは誰だ?」

夏侯嬰「それは、韓信という者です。項羽の下で優遇されず、漢王を慕って参った者です」

劉邦「韓信・・・?知らんなぁ。まあ、お前がそんなに見込んだ男なら採用してやろう。

        治粟都尉(食糧管理の役人)にしてやろう」

夏侯嬰「ええっ!?彼はそんなチッポケな才能の持ち主ではありません。

            彼には実績こそありませんが、稀代の名将になるに違いありません!!

            なにとぞ、お考え直しを」

劉邦「いや。ワシはまだ韓信なる者の才能を知らぬ。しばらく様子を見よう」


こうして、韓信は食糧管理の役人に回されてしまった。

夏侯嬰はがっかりしたが、めげず、蕭何に応援してもらうことにした。

蕭何に韓信を紹介し、彼の才能を知ってもらおうとしたのだ。

蕭何は、快く韓信との会談を承諾してくれた。

・・・・・・・・・


なんと、蕭何も韓信の才能にゾッコンになってしまった。

蕭何も、劉邦に度々韓信を推挙するようになった。


その後、すったもんだがあったが韓信は大将軍の地位に就いた。

一介の逃亡兵が、夏侯嬰と蕭何の推挙で漢軍の全権を握る人物になったのである。

そして、韓信は元秦の地を攻める策を劉邦に献じ、劉邦を非常に喜ばせた。

さっそく、夏侯嬰ら将軍達に命じて元秦の地を攻めさせた。

韓信の策のとおり、元秦の地はあっさりと落ちた。

劉邦は名実共に「漢王」になったのである。


しかし、韓信の策は元秦の地を奪回することが目的ではなかった。

項羽の本拠地・彭城を落とすのが真の目的であったのだ。


漢軍は韓信を大将軍として、兵を集めながら彭城に攻め寄せた。

最終的には、漢軍は56万に膨れあがった。

そして彭城は、項羽の留守中であった。

彭城はあっという間に落とされ、街は略奪強姦で滅茶苦茶になった。

しかし、項羽がこの侵略を許しておくはずがない。

項羽は、直属兵3万を率い、彭城に向けて南下し始めた。

漢軍は56万という数を頼りにして、全く警戒を怠っていた。

項羽はあっという間に56万の漢軍を蹴散らし、大多数を降伏させ、漢軍と楚軍の兵力は逆転した。

そして、劉邦を目指して、楚軍が殺到した。


劉邦は、楚軍に急迫され、ただ馬車の上でただオロオロするばかりだった。

しかし、いつも御者を務めている夏侯嬰は意外と冷静だった。

逃走中に、なんと、劉邦の息子と娘を見つけたのだ。



そしてこのあと、夏侯嬰一世一代の名場面が・・・!?


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