韓信は、鍾離眛に言ってしまった。 |
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韓信 | 「君の首を持って陛下に目通りすれば、陛下はお喜びになり、 わが楚国も安泰だと言う者がおった。 君はどう思う・・・?」 |
鍾離眛 | 「・・・私はあなたを見損なった。 劉邦があなたの国を攻撃して領土を取り上げないのは、 私があなたのところに匿われているからですぞ。 もしあなたが私を捕えて漢に差し出し、媚びようとするのならば、 私は今すぐにでも死にましょう。 だが、あなたもすぐに滅ぼされますぞ!! あなたは誠実な人ではないな!!」 |
鍾離眛は自分の首を刎ねて死んだ。 韓信はその首を持って陳へ行き、劉邦に拝謁した。 |
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韓信 | 「陛下のお求めになっていた鍾離眛の首を持参いたしました。 どうぞご検分を・・・。」 |
劉邦 | 「こやつを縛り、車に押し込めろ!」 |
韓信 | 「な、なぜでございます! そ、そうか・・・。やはり人の言った通りだった。 『狡兎死して、良犬煮らる。高鳥尽きて、良弓蔵わる。敵国破れ、謀臣滅ぶ。』 (すばしこい兎が捕り尽くされると猟犬は煮て食われる。高く飛ぶ鳥が捕り尽くされると、 良い弓はしまわれる。敵国が破滅すれば、謀臣はころされる。) とはこのことだったのか!! 天下が定まった今、わしが煮殺されるのも当然だ!」 |
劉邦 | 「・・・おまえが謀反したと密告する者がいたのだ。」 |
韓信は ![]() 楚の国は荊と楚に二分され、荊王には劉邦の従父兄劉賈、楚王には劉邦の弟劉交が任命された。 韓信は劉邦が自分の才能を恐れ憎んでいると知り、常に仮病を使って謁見にも出ず、 行幸にも一度も随行しなかった。 韓信は昼も夜も怨みを抱き、鬱々として気が晴れず、 周勃や灌嬰などと同列の身分(列侯)であることを恥だと思っていた。 あるとき、韓信は舞陽侯樊 ![]() 樊 ![]() 談笑したときには、自分のことを「臣」と言い、へりくだった。 韓信を帰すときにも、「大王さま、わざわざ臣の家までお出ましくだされて。」と言った。 韓信は樊家の門を出ると自嘲の笑みを浮かべて言った。 「俺も生き長らえはしたが、樊 ![]() あるとき、劉邦は鬱々としていた韓信を召し出した。 話の内容は、いつの間にか将軍達の能力評価となった。 |
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劉邦 | 「わしは、どれ位の兵を指揮できると思う?」 |
韓信 | 「陛下は十万人程度の指揮が限界です。」 |
劉邦 | 「では、君の場合は?」 |
韓信 | 「わたくしは多ければ多いほどよいでしょう。」 |
劉邦 | 「なんじゃと?はははは! では、どうしてわしに捕まったのだ?」 |
韓信 | 「陛下の場合、兵を指揮する能力はありませんが、 将軍達を指揮する能力をお持ちです。 これが、わたくしが陛下に捕えられた理由です。 それに陛下は、いわば天から授かった能力もお持ちで、 それは人間の能力ではございません・・・。」 |
こうして韓信は鬱々と謀反の心を育てた。 しかし、時はすでに遅かったのである・・・ |