第一話:旧韓の王孫


韓王信の本名は実は韓信というのだが、

劉邦三傑の一人・韓信と区別する為に韓王信と表記することになったらしい。

また韓王信は抜群の偉丈夫であったらしく、「史記」には身長八尺五寸とある。

漢代の一尺は22.5pだったそうなので、今で言うと約190pぐらいであろうか。


彼は戦国時代の韓の襄王の孫(側室が生んだ子の息子)で、

秦の天下統一後は庶民に落とされて下町に住んでいた。

秦の暴政で世が乱れ始め、劉邦らが挙兵した。

劉邦はすでに大軍師張良を配下に加えており、彼の献策で韓を攻略することに決まった。

なぜなら張良の祖父張開地、父の張平は韓の五王にわたって大臣を務めており、

張良にとっては攻略のしやすい土地だったからである。


張良は別働隊を率いて韓を攻略した。その最中、韓王の孫がいることを知った。

いや、張家は韓の貴族の家柄だったので王孫がいることを既に知っていたかもしれない。

まあ、それはどちらでもいいとして、

韓王信が能力ありげだったので、張良は彼を韓の将軍に任命した。


その後、張良が劉邦と合流すると韓王信も劉邦につき従って一緒に秦の首都咸陽を落とした。


落魄して王族の誇りを失いかけていた人間が、再び日の光を浴びようとしていた・・・


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