秦が邯鄲の包囲を解いた後、趙孝成王は趙 ![]() 講和の条件は、秦への従属・趙領内の六県の割譲であった。 虞卿は和睦が決まると孝成王に言った。 |
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虞卿 | 「秦は邯鄲を包囲しましたが落とせず、疲弊して兵をひきました。 それなのに王さまは六つの県を秦にさしだされ、 また来年秦がわが国を攻める手助けをされております。 次に秦が攻め寄せれば、もう王さまの打つ手は無いのではありませんか?」 |
王は趙![]() 趙 ![]() と煮えきらぬ返事をした。 またもや虞卿は進言した。 |
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虞卿 | 「秦は戦に長じていますが、今割き与えようとしている六県は戦では取れません。 秦の機嫌をとるために六県を与えるならば、 また来年秦は攻め寄せてきて新たに六県を要求するでしょう。 限りある領地であるのに、限りない秦の要求を飲んでいては、 やがて趙の地はなくなりますぞ。」 |
このとき元秦宰相の楼緩が趙に来ていた。 趙王は楼緩に意見を求めた。 |
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楼緩 | 「今、趙が滅亡しようとしているときに、六県を秦に与えずにどうするのです。 秦の心を安め、各国からの侵略を防ぐのが上策であります。 虞卿は一を知って二を知らぬ者です。」 |
虞卿 | 「ははぁ。楼緩どのの秦の為の謀略、恐ろしい限りですな。 秦の心を安んじるとは何事ですか? 六県を秦に献じる、これは趙の弱さを天下に示すことであります。 それを言わずに、六県を秦に献じよとは曲者以外の何者でもありません。 私が思うに、六県は秦ではなく斉へ献じるべきであります。 斉は秦へ深き怨恨がありますゆえ、間違いなく和議は成立します。 斉が六県を受け取れば、斉・趙が組んで秦へ攻め入ることになりましょう。 これは趙の力を天下に示すことになります。 王さまが斉へ使者をだす命令をすれば、秦の使者がこちらへ参り 逆に向こうから和議を申し込んでくるに相違ありませぬ。 これを聞けば、韓・魏両国も我々に宝物を差し出してくることになりましょう。 この策が実行されれば、一挙に三国の誼が結ばれ秦と立場が逆転します。」 |
趙王は深く頷き、虞卿を使者に任じ斉へ行かせ、共に秦を討つ策を立てさせた。 虞卿がまだ斉より戻らないうちに、秦からの使者がやってきて 虞卿の予言通り和議を申し入れてきた。 楼緩は国外へ逃亡した。 孝成王は改めて虞卿の才能を認め、一城を与え万戸侯とした。 その後、やはり虞卿の予言通り魏の使者がやってきて、 合従し共に秦に当たりたいと申し入れてきた。 趙王は魏の使者へ返事をせずに、虞卿を呼んだ。 |
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孝成王 | 「魏との合従についてどう思うか。」 |
虞卿 | 「魏は間違っておりますし、合従をお受けにならない王さまも間違っております。 大国と小国が一緒に組んで戦をする際、 敵に勝てば大国が福を受け小国が禍を受けると聞いています。 魏は小国でありながら、進んで禍を引き受けようとしております。 そして王さまは大国の主でありながら、その福を受けようとはしません。 私が密かに考えるに、合従が有利であります。」 |
趙王はなるほど、と思い魏と合従の約を結んだ。 |