第一話:游説之士


虞卿はどこの出身かわからない。名も不明である。

秦始皇帝が即位(紀元前246年。即位した時は秦王)する10年程前に論客として趙で活躍した。


草鞋を履き長柄の傘をさして趙孝成王の前で弁舌を振るい、

一度目の目通りで黄金百鎰(約32Kg?)と白玉一対を賜り、二度目の目通りで趙の上卿となった。

故に虞卿と呼ばれた。

(三国蜀と晋に仕えた周の史記注によると、虞に土地をもらったから虞卿と呼ばれたとあり、

ますます虞卿の実像がわからなくなる。)



司馬遷が十二諸侯年表の中で、虞卿の著した『虞氏春秋』を参考にしたと述べており、

司馬遷にとってもなじみのある人物だったようだ。

今回は、司馬遷もその生き様に共感した虞卿を取り上げる。


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