第九話:転出



おうは度々文帝を直諫したので朝廷にいられなくなり、隴西郡都尉に転出することとなった。

彼は兵士たちと苦楽をともにし、思いやりが深かったのでみな争って命を投げ出そうとした。


さらに袁おうは斉王の丞相に移り、その後は呉王劉ひの丞相に移った。

おうが呉国へ出発しようとしたとき、甥の袁種が言った。

「呉王さまの驕慢な振舞いは長い間続いていることで、さらに呉では不正がまかり通っています。

もし叔父上がそれらを摘発して法で裁こうとなさるなら、

呉王は叔父上を告発して陥れるか、鋭い剣で刺殺されるかのどちらかでしょう。

まあ、呉は土地低く湿度の高いところです。

酒でも飲んで周りのことはあまり気にせず、呉王には『謀反は起こさぬように』とだけ

注意なさればよいかと考えます。こうすれば災いは避けられるでしょう。」

おうは甥の助言のとおりに振舞ったので、呉王劉ひは彼を大いに厚遇した。



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