第六話:諫言【初級】


宦官の趙同(漢書では趙談)という者は星占いが上手で、文帝に気に入られていた。

しかし趙同は袁おうの悪口をたえず文帝に吹き込んでいたために、袁おうは気がかりであった。

文帝は趙同が私怨で悪口を言っていると理解してくれているが、

いつ文帝の気持ちが変わるかわからない。

それを見かねた甥の袁種(袁かいの子か。この時、常侍騎)は袁おうに言った。

「叔父上。あいつと口喧嘩して皆の前で恥をかかせ、

奴の悪口が役立たなくなるようにしたらどうです?」

おうはこの案を気に入り、実行する機会を窺っていた。


ある時、文帝がお召し車に乗って外出したとき趙同が同乗した。

おうはすかさず馬車の前に進み出て平伏し言った。

おう 「臣はこう聞いております。

『天子のお召し車に同乗する者は、天下の豪傑や傑物でなければならない。』

現在わが漢朝に人材は乏しいとはいえ、

よりによって刑余の罪人(宦官のこと)と同乗されるのはどうかと思うのですが。」

文帝 「ははは。わかったわかった。

趙同は降ろすぞ。」

こうして趙同は泣く泣く馬車を降りた。宦官を嫌っていた大臣らも溜飲を下げた。



このように袁おうは歯に衣着せぬ言動で直諫するのであった。

そしてこのあと、袁おうの諫言はますます熱くなる・・・


HOME 第七話へ