第三話:伯牙絶絃


周勃はある人から「長期にわたって尊貴な地位にいれば禍を避けることはできない。」と言われ、

また自らも危険だと感じて恐れ、丞相の印を返還したいと申し出た。

文帝はそれを許可した。

紀元前178年に丞相陳平が亡くなると、周勃は再び召し出され丞相に任命された。

しかし翌年、文帝は周勃を免職とし領国の絳県へ追いやった。

周勃は、「免職されたのは誅殺への第一歩ではないか?」と酷く恐れ、

河東郡の役人が絳県を視察しに来ると、よろいを着て家来に武器を持たせて面会した。


周勃が恐れていた通り、「絳侯は反乱を計画している」と訴えられ都へ呼び出された。

すぐさま牢獄へぶちこまれ、厳しく取り調べられた。

もともと反乱の罪はでっちあげで、周勃は弁解のしようもなかった。

朝廷では皇族・高官・旧友、誰も周勃のことを助けようとはしなかった。


そんな中で袁おうだけが身を賭して周勃の無実を論じ、文帝に釈放を要求した。

結局薄太后も周勃弁護に加わり、最後には文帝を叱り飛ばした。

母に叱られた文帝は「ちょうど釈放するところです。」と情けない返答をしている。(ここの母子問答、笑える)


周勃は出獄して周囲に色々と話を聞くと、非常に驚いた。

なんと犬猿の仲だと思っていたこわっぱ袁おうだけが自分の無実を主張してくれたというではないか。

誰も自分をかばってくれなかったというのに・・・。

周勃はすぐさま袁おうに面会を求め、感謝を伝えると共に以前のことを詫びた。


このあと周勃は領国へ引っ込んでしまうが、袁おうとの親交は周勃の死まで続いたという・・・


HOME 第四話へ