衛綰は景帝が皇太子の頃、酒席に招かれたが病と称して行かなかったことがあった。 景帝は即位してからも衛綰を重用することもなく、声も掛けなかった。 しかし衛綰は気にする風も無く、謹み深く勤めた。 ある時、景帝が上林苑に行幸した。 衛綰は添え乗りするよう命じられた。 宮中へ帰還すると、景帝が言った。 |
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景帝 | 「君は何故わしと同乗できるようになったか知っているか?」 |
衛綰 | 「臣は代の戯車の士をしておりましたが、 年功によって昇進し中郎将に任じていただきました。 わけは存じませぬ。」 |
景帝 | 「ふふ。そうか。 わしが太子であった時、君はなぜ酒宴に来なかったのだ?」 |
衛綰 | 「死罪であります。臣は病気でありました。」 |
景帝 | 「そうか。 君は今まで何の文句も言わずに謹み深く仕えてくれた。君に剣を与えよう。」 |
衛綰 | 「臣は先帝から六振りの剣を賜りました。 陛下からさらに頂くわけには参りません。」 |
景帝 | 「なんと。 剣は好んで交換するものであるのに、今も君は持ち続けているのか!」 |
衛綰 | 「すべて保管してあります。」 |
景帝 | 「ぜひわしに見せてくれ。」 |
こうして景帝が六本の剣を取り寄せてみると、 剣は全て鞘に収められたままで佩用すらしていなかった。 郎官に過ちがあり咎められると、衛綰はいつも罪をかばった。 同僚と功績を争うこともなく、功はいつも人に譲った。 こういったことから、景帝は衛綰は長者で忠義の人であると思った。 |