第一話:為人廉直喜任侠


田叔は趙のけい城の人で、戦国斉王家の末孫である。

田叔は若い頃から剣術にうちこみ任侠を好んだ。

また楽巨(高名な楽毅の一族)の下で黄老の学を学んだ。

人柄は非常に廉潔であり、長者と交わることを喜びとした。


漢代に入り、人々は趙丞相の趙午に田叔を推薦した。

趙午は田叔と語り合ってみると類稀な逸材であることに気づき、趙王張敖(張耳の子)に推薦した。

張敖はすぐさま田叔を郎中に任命した。


数年が経ち、張敖は田叔の公平潔白さに感心したが、

これといった功もなく昇進させるには至らなかった。


そんな時、趙王張敖に最大の困難が襲いかかった。


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