張釈之は南陽郡  陽県の人で、字を季といい兄の張仲と同居していた。資産家の子弟の資格で騎郎の官職についた。 文帝に仕えて十年、昇進できず名を現すことができなかった。 張釈之は落胆し、「長い間帝にお仕えして兄の財産をへらしてしまったのに、 志を遂げることができない。」と言って帰郷しようとした。 中郎将であった袁  は張釈之の才能を知っていたので彼の帰郷を惜しみ、文帝に張釈之を推薦し、文帝は釈之を謁者とした。 張釈之は任官の謁見を終えると、文帝の前に進み出て政治問題について意見を述べた。 文帝は、「議論を解りやすくせよ。抽象的なことを言うな。実施可能なものでなくてはならない。」 と注文をつけた。 そこで、釈之は「なぜ秦が滅び、漢が興ったか。」を述べた。 文帝は張釈之の意見に感心し、意見を褒めてその場で謁者僕射（謁者の長）に任命した。 |
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