中平二年の客星
〜『後漢書』天文志より〜




夏の星座ケンタウルス座は現在、東京からではその上半分しか見えない。

ケンタウルス座α星は南十字星の近くに位置し、沖縄以南でないと見えないという。

このα星の近くにRCW86という超新星爆発の残骸がある。

この超新星SN185の爆発は、記録された最古の超新星爆発であるという。

記録したのは中国、『後漢書』である。

後漢書天文志、中平二年十月癸亥(AD185年12月7日)の項に

「客星(一時的に現れる星)が南門(ケンタウルス座の一部)の中に現れた。

筵を半分にしたくらい大きく(意味不明)、様々な色が非常に明るく輝き(ここも原文難解)

翌々年6月に見えなくなった。

この客星出現を占ったところ、兵乱があると出た。

中平六年になると、袁紹が宦官を皆殺しにし、呉匡が車騎将軍何苗を殺した。

死者は数千人であった。」
とある。(誤訳だらけの為、正しい訳ができる方のご指摘お待ちしております)

この客星が判定の結果、超新星SN185と比定されたわけである。


当時の星空は、地球の歳差運動により現在より20度以上傾いており、

南十字星も地平線付近に見えていたはずである。

光害の無い時代ゆえ、南の地平線近くに現れた客星は鮮やかに見えたはずである。

(special thanks どんたく様)


中国では政権も人も河道もみな変わったが、星空は変わらない、

それを理解していた故、古代の中国人は星空の変化を特筆したのであろう。

まことにありがたいことである。


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