劉邦興隆
〜干宝『捜神記』より〜


孔子は「春秋」を編纂し「孝経」を著したが、

書が完成したときに斎戒して北極星に拝礼し、天に完成を報告した。

すると白い霧がむらがり起こり、地に低く垂れ込めた。

そして白い虹が空から降りて来て、三尺(約69cm)程の黄色い玉に変わった。

孔子が表面を見ると、字が刻んである。

寶 文 出 劉 季 握 (宝文出でて、劉季握る)

卯 金 刀 在 軫 北 (卯金刀、軫の北に在り)
 卯金刀は「劉」の字を分解したもの。軫は二十八宿の一つで楚の分野にあたる。現在のからす座。
字 禾 子 天 下 服 (字は禾子、天下服す)
 禾子は劉邦の字である「季」の字を分解したもの。


旧い王朝が滅び新しい王朝が興ると、

新王朝の正当性を謳う為に瑞兆など後付けの話が流布されます。

しかし、当時は広く信じられたんでしょうね。

ちなみに孔子の超能力まがいの逸話は、王充の著書「論衡」で激しく非難されています。


HOME