羌族の英雄〜干宝『捜神記』より〜


■原文
じつ者、羌豪也、秦時、拘執為奴隸、後得亡去、

秦人追之急迫、藏於穴中、秦人焚之、有景相如虎來為蔽、故得不死。

諸羌神之、推以為君。其後種落熾盛。

■私訳
じつ(えんじつ)は羌族( 中国北方異民族の一つ)の英雄である。

秦に捕えられ奴隷となったが、脱走した。

しかし、秦の追手に追いつめられ絶体絶命となった。

窮した袁じつは洞穴のなかに逃げ込んだ。

秦の追手は洞穴のなかに火を放ち、袁じつを焼き殺そうとした。

するとあたかも虎のような「何か」が現れ袁じつをかばったので、

命が助かり無事逃げられた。

羌族たちは世にも不思議なことだと思い、袁じつを羌族の長に推戴した。

その後、袁じつ率いる羌族は大いに繁栄した。


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