第四話:失墜


景帝が即位すると、とう通はすぐに太中大夫を免職された。

とう通は自宅にひきこもり、一切の交際をしなかった。


しかし、とう通に怨みを持つ者は多い。景帝ですらそうであった。

まもなく、「とう通は鋳造した銅銭を密かに国外へ持ち出した。」と告訴する者が現れ、

とう通は投獄され尋問を受けた。

その間に証拠となる事実が見つけられ、徹底的に調査が行われた。


結局、とう通は全財産を没収された上に、政府に罰金として納める数億の債務を負った。

とう通いじめを見かねた長公主(景帝の姉。劉嫖のこと)とう通に色々と贈り物をしたが、

役人はそのたびにすべてを没収した。

とう通は飯も食えず、かんざし一つも身につけられなかった。

可哀想に思った長公主は、「貸してやる」という名目で衣服や食物を与えた。


その後、とう通は銅銭一枚ですら自分のものだと主張することもできずに、

他人の家の居候となって死んだ。



管理人が思うに、彼の最期はましなほうである。

皇帝に愛された男や宦官は、だいたいその皇帝が死ぬと殺される。

司馬遷は言う。

「足以觀後人佞幸矣。雖百世可知也。」

佞(へつらい)で寵幸される臣の行く末は、見てとることができる。

たとえ百代のちの世でも、へつらいによって愛された臣の末路は予知できるのだ。

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